キャリアコンサルタントの課題

心構え
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ふくろう

受講前、キャリアコンサルタントは、職業相談窓口のような単に職業紹介をする存在をイメージしていたが、講座を通じ職業を中心にしながらも、個人の生きがいや働き甲斐までを含め、人生全般にわたるキャリア形成を支援する役割があることを学んだ。クライエントへの関りが、その後のクライエントの人生に大きく影響すると考えた。

感じた3課題

特に私がキャリアコンサルタントとして歩むために強く課題として感じたのは

・クライエントに対して「共感的理解」を深めること

・クライエントに「自己効力感」を持ってもらうこと

・自分自身への「自己理解」を深めること

の3点である。

この3点について私が課題と感じた理由、その対策について述べてみたい。

クライエントに対して「共感的理解」を深めること

クライエントに共感するためには、クライエントとの共通項を増やす必要があると考えている。共通項を増やすためには、内的準拠枠の精神的な側面と知識的側面を広げる必要がある。特に私の場合、強く意識をしておきたいのは、転職・相談やライフプランニングなどのコンサルティングを行う場合、多くのクライエントは会社員または会社員志望と想定される一方で、私自身は個人事業主である、という点である。私が一方的に考えているだけかもしれないが、会社という後ろ盾がない個人事業主と会社員では精神面、知識面である程度差があると考えている。この差はどちらが優れている、という優劣の差ではなく内的準拠枠の差だと考える。

精神的側面についてだが、私は個人事業主は、「自分が動かなければ収入が生まれない」と考えている。そのため自主的行動をする傾向が強い。動いて当たり前、やって当たり前、モチベーションがあって当たり前なのだ。そのため、目の前に悩みを抱える人、行動に移せない人、自分で行動を考えることができない人がいると、通常の私の内的準拠枠では「どうしてこの人は自ら行動に出ないのだろう」「思ったことをやったらいいのに」という気持ちになってしまう傾向がある。

その一方で、目の前のクライエントは人間関係や仕事に悩みを抱える場合、積極的に活動に移せない状況、精神状態であることが考えられる。

「共感的理解」を深めるためには、その人が今感じている壁、動けない理由に寄り添う気持ちがまず必要と考えている。

自分の中に折り合う部分がないかと考えてみると、過去の自分の経験で、会社員時代に人間関係で壁に当たって悩んだ経験もあり、その時に取りたい行動がとれなかったこともある。そういった過去の行動の振り返りをすることで、目の前のクライエントとは同じ経験ではないが、クライエントと自己概念の共通部分を感じることができ、悩みに寄り添えるのではないかと考えている。また時間軸での共感も必要と感じている。若者に上から目線になってしまったり、立場の違いからの発言をするのではなく、年齢的にもその立場に立った時にどういった感情、考え方で行動していくのか踏まえる必要がある。異業種交流会や、年齢問わずに集まるコミュニティなどに参加することで年齢を問わずにいろいろな考え方があることを学んでいきたい。

 知識的側面で大きく欠けているのは会社についての知識である。福利厚生や給与制度、休暇制度などの知識である。15年ほど前は会社員だったが、若くまた独身であったために福利厚生など会社の制度にあまり興味を持っていなかった。転職活動をした経験もあるが、そういった部分に興味を持ったことはない。一方で、働き方改革という声もある中、給与だけではないさまざま条件を望むクライエントが出てくる可能性がある。これらの知識は、まずは求人情報などからどんな制度があるのか、どんな待遇があるのかについて調べてみたり、知人に話を聞いてみるなどして知識を深めていきたい。知識を深めることで、クライエントと知識の面での共通項ができるのではないか、と考えている。

クライエントに「自己効力感」を持ってもらうこと

共感的理解を深めるだけでは、クライエントを理解するだけで、支援にはまだ至っていない。クライエントに自信を持ってもらうことで、自ら考え行動をしていけると考えるが、そのためには、クライエントに自分の行動への自信を深めてもらうことが必要と考えている。

自分の行動が正しい、これでうまくいきそうだ、という気持ちは、おそらくクライエントが過去の自分がしてきたこと、現在の自分がしていることへの「自己効力感」から生じると考えている。

「自己効力感」を持ってもらうためには、クライエントがしていること、価値観などにコンサルタントである私が興味を持ち、共感し、認めていることを示し、相手に伝える必要がある。目の前のクライエントが取り組んできたこと、達成したことの価値を見出して、その事実をクライエントの価値観に沿った言葉で返していきたい。もしかすると悩みを持ったクライエントも「自己効力感」を感じるだけで、ある程度問題解決するのではないか、と考えている。

クライエントと向き合う時に、ふとした会話のやり取り、仕草などを注意深く観察し、そこからクライエントの内的準拠枠をうかがい知る必要がある。どんな価値を大切にしているのか、どういったところでやりがいを感じるのか、そういった価値観が垣間見える対話ができるようにしていきたい。 会話の中で、クライエントの内的準拠枠が見えてきたところで、その中で認められてうれしい、誇らしいと思えるような言葉がけを行い、かつ表面的な声掛けではなく、ここでは前段の「共感的理解」から出てきた心からの言葉をかけていきたい。

自分自身への「自己理解」を深めること

「共感的理解」「自己効力感」というキーワードがこの課題で出てきたのは、私自身の思考には私なりの偏りがあることを、ロールプレイングのフィードバックなどで得たからである。私はキャリアコンサルタントの講座で私が考えているより自分のことを知らないことを学ぶことができた。「自己理解」は他人からのフィードバックだけではなく、自分自身でも、判断基準の傾向などを考えていきたい。自分を知ることでクライエントとの距離感を図り、より深くクライエントを理解することができるようになると考えている。

講座のロールプレイングの中で、1週間で感情が動いたこと、というテーマでの演習があった。私は「ラグビーワールドカップのカナダの選手が東北でボランティアをしているのを知って涙が出るほどうれしかった」と語ったが、「なぜですか?」と聞かれた時に、「そうだ。なぜなのだろう?」と考え込んだ。「宮川さんの中にそうしたい気持ちがあるのか」と聞かれた。どうなのだろう、と考えた。自分が単純にえり好みをして読んでいる記事をどうして選んでいるのだろう、と気になった。自分の心の動きを考えてみることで、他の人の心の動きにも敏感になるのではないかと思うに至った。

最近ではインターネット上のニュースのコメント欄をよく読むようにしている。ニュースのコメント欄にはさまざまな意見があるためだ。コメント欄を読むことで、そのニュースに対してどんな意見が支持され、どういった反対の意見が多いのか、自分はどんな意見に共感を抱くのか、反感を抱くのかを理解することができると考えている。

 また喜怒哀楽について、どんなことをされるとうれしいのか、悲しいか、など自分自身のことを考察することが重要と考えている。特に、過去の悩んでいた時、困っていた時にどのように自分が考え行動したのか、周りから見るとどう見えていたかを考えることで、趣味、嗜好といった表面的なものから、より深い「自己理解」に至ると考えている。「自己理解」が深まることで、より自分の感情や行動をよく考えるようになり、他の人の感情や行動の背景も注意深く考察でき、コンサルティングの場にも活きると考えている。

まとめ

上記の3つの課題だけを押さえることでキャリアコンサルタントとして活動が満足にできるわけではないが、クライエントとの良好な関係の構築を行い、その後のクライエントの行動の活力にしてもらうために、これらの課題を意識し続けていきたい。

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